相続税の基礎知識

①相続税申告

相続税申告とは、亡くなった人の財産を相続や死因贈与、遺贈によって承継した場合にその財産の金額に応じて課税される税金です。財産を受け取った割合で、相続人、受贈者(贈与を受けた人)、受遺者(遺贈を受けた人)が10か月以内に申告して税金を納めます。

②相続税

相続税にも基礎控除というものがあります。贈与税でいう110万円です。
相続税の場合には、基本部分が、3,000万円+法定相続人1人当たり600万円です。
※注 法定相続人に養子がいる場合に、法定相続人の数は、実子がいる場合は1人、実子がいない場合には2人までとなります。

例)配偶者と子供が2人いるケースでの基礎控除額
3,000万円+600万円×3人=4,800万円

また、生命保険金や死亡退職金については別途それぞれに非課税限度額(500万円×法定相続人の数)までは相続税の対象にはなりません。
※注 相続を放棄した人や相続人でない人は、非課税限度額の対象にはなりません。

③相続税申告の義務を負う相続人

相続税申告の義務を負う相続人は、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地の特例」などの各種特例を使わなくても相続する全体の財産が、基礎控除額を上回る相続人が申告することになります。

税額計算例)「正味の遺産」に対して税金がかかります。
土地建物や預貯金の財産から借入金や未払金等の債務および葬式費用を差し引いた残りが、「正味の遺産」になります。
(生命保険金・死亡退職金は、非課税限度額を超えた部分を加えた計算になります。)

【具体例】
1 財産・債務等の内容

現金・預貯金・上場株式 6,000万円
土地(居住用)
小規模宅地の特例適用後
(一定の要件に該当すると330㎡までの部分が20%評価になります。)
1,200万円
建物 800万円
生命保険金(受取額4,500万円-500万円×3) 3,000万円
総遺産額 1億1,000万円
未払金(固定資産税) △20万円
葬式費用 △280万円
正味の遺産額 9,800万円

2 課税になる遺産額の計算
正味の遺産額から基礎控除額を引いたものが課税総遺産総額になります。
9,800万円-4,800万円(基礎控除額)=5,000万円

3 相続税額の計算
1)上記2で計算した課税総遺産総額を、民法で規定した法定相続分で分割したとして計算します。
妻  5,000万円×1/2=2,500万円
長男 5,000万円×1/4=1,250万円
長女 5,000万円×1/4=1,250万円

2)次に速算表に当てはめて相続税の計算を行うと、下記の通りになります。 (課税価格)×(税率)=(控除額)
妻  2,500万円×15%-50万円=325万円
長男 1,250万円×15%-50万円=137万5,000円
長女 1,250万円×15%-50万円=137万5,000円

なお、配偶者の取得した(遺言や遺産分割が確定)遺産額に対応する税額については、1億6,000万円若しくは法定相続分のいずれか多い金額までは税額控除があります。

配偶者の税額軽減額(△325万円)⇒妻の納税額は0円となります。
長男の納税額 137万5,000円
長女の納税額 137万5,000円

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